夜と昼、路地と山中。 対比された映像が印象的な作品 『同じ月を見ている』 [映画ロケ地紹介]
監督 深作健太
脚本 森淳一
出演 窪塚洋介 エディソン・チャ 黒木メイサ
土田世紀の同名マンガの映画化。
成長することで離れていった幼なじみ3人の心が、ある事件をきっかけに再び触れ合ってゆくヒューマンドラマですが、ただし、決して明るい作品ではありません。
オープニングから、自然豊かなシーンの連続ですが、全編を通して映る自然は、それぞれにロケ場所が違います。
幼いころの3人が暮らす田んぼや森がある風景は、長野県諏訪郡で撮影され、秘密基地やこの物語の発端となる別荘の火事などは、埼玉本庄市での撮影。
そして、ラストの山での捜索や火事のシーンは山梨県の河口湖で撮影されています。
最初の広々とした田んぼの風景に対して、ラストの森の中での捜索や火事のシーンは、主人公達の心の変化をよく表していて、ロケがとても生きているのではないでしょうか。
特に、ラストの河口湖ロケは、オール夜間撮影だったそうで、苦労の報われる映像になっていますね。
そんな自然の中でのロケと対照的とも言えるのが、ヤクザの出て来る街中のシーン。
こちらは、新宿や千葉県木更津のお店を借り切って行われたそうで、この対比がこの映画のロケのポイントでしょうか。
特に、山本太郎がヤクザに刺されて死ぬシーンでは、木更津の飲み屋街の狭い路地に、10メートルものクレーンを設置しての撮影だったとかで、狭い道を逃げ惑いながら、最後に視界が開けて行くというのは、ロケ地の特性を最大限に発揮したシーンですね。
木更津では橋でのケンカのシーンなども撮影されたそうですが、殺伐としたシーンばかりの撮影で、近隣の方はヤクザ映画を撮影していると思った方もおられたそうです。
その他のロケ地としては、ドンちゃんが絵を描くお寺は秩父の法性寺、ラストの海の見ええる病院は横須賀にある実際の病院と、本当にいろいろな場所で撮影が行われた作品です。
そして最後になりましたが、脱走シーンで夜の広い草原をかけてゆくシーン。
こちらは神奈川県にある服部牧場の草地での撮影ということで、日ごろは牛さんが歩いている場所が、夜だとあんなに幻想的になるんですね。
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